包丁はこうして作られる!@新潟県燕三条

マザーズの「万能包丁」を作ってくださっている
燕三条の工場におじゃましました。

製造のオートメーション化が進んでいる現代で、
金物は本当に職人さんがひとつひとつ手作業で作っているの?
そんな疑問もどこかに密かに持ちながら、お伺いしましたが、

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

素材を切り出すところから、成形、刃付け、箱詰め、
ほぼ全ての行程が地元の職人さんの手によるものでした…!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲原料のステンレス材。工場の入口に積まれている!


ステンレスと鉄では、形をつくる行程が異なります。
ステンレスの場合はプレス加工という方法でカットし、
ほぼ包丁の形ができあがるので大量生産するのに適していますが、
鉄を使う場合は昔ながらの鍛造という、加熱した鋼材をハンマーで叩いて強くし、
形を整える製法で作られています。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲プレス加工。鋼材を穴の空いた下型に載せ、上から同じ形の型を押して打ち抜く。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲プレス加工後の包丁の刃。

熱せられる鉄

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲鍛造。鉄材を高温で熱し、赤くなったら槌(ハンマー)でたたき、形を整えていく。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲鍛造の成形後


成形された鋼材を硬く焼き固める熱処理を施します。
1000℃を超す釜の中を進むラインに刃を1本ずつ吊り下げ、ゆっくり焼き入れた後、
空気中で冷却、今度は200℃前後で再加熱し、また冷却…を繰り返すと
硬度が均一化され靭性が生まれます。

焼き入れ
▲夜間の電力を使って稼働する 焼き入れのライン。
1本ずつ吊り下げられた刃が高温で焼かれていく。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲焼き固まった後、黒くマットな質感になった刃。


「刃を付ける」というのは後からくっつけるような言葉に聞こえますが、
そうでは無く、削ったり磨いたりすることで
刃先を鋭利にし仕上げることです。
また両刃でも表裏面の研ぎ方を微妙に変えたり、
刃先の箇所によって研ぎ角度を変えたりと、
包丁の種類によって付け方は様々。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲研削・研磨の作業で使う砥石。
やすりと一緒で多種の番手がある。
刃付け作業は熟練の職人さんが担当。
工房では研ぎ石の擦れる音が響きます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲同じ形でも微妙に焼き上がりが異なる為
1本1本の特性に合わせての加減が難しい。

…職人さんの技術差が包丁の品質を左右しないように、
担当している製品の切れ味をその都度、測定器を使って確認し、
数値が満たなければ刃の付け直しをします。
基準をクリアした刃には柄が付けられて最終的な品質チェックへ。
精密機器と地元のお母さんたちの厳しい目が光ります。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲切れ味を測定する機械に包丁をセット。
3000枚の紙の束、何枚切れるか…?

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲箱詰め前の最終チェック。
ひとつひとつ、布巾で磨き上げながら、
刃こぼれやキズなどが無いか丁寧に確認します。

このようにして包丁はできあがり、私たちの手元に届きます。
……

包丁一本にこんな多くの行程、職人さんの手によって
作られている事に感動するとともに、
ひとつとして同じではない素材相手に
黙々と繊細な調整を重ねて、品質を保ちつづける
集中力と精神性、もちろん体力も兼ね揃えてないとできない、
今現代の数ある「仕事」の中で、これほどを要する職があったのか、
と思わされる程でした。

そう感じてしまうのは、的外れでもなく、
実際に、燕・三条では、職人の高齢化と継ぎ手の不足により
歴史ある工場がどんどん閉鎖に追い込まれているそうで、
分業化している為に、ひとつのラインが閉ざされてしまうと、
その製品自体が作れなくなってしまうといいます。

近年では、分業化していた各々の工場から、
職人と使い慣れた機器とそのまま一緒に合わせて、
ひとつの工場内でラインを組むことを進めている企業があります。
今回のマザーズの包丁も、そんなようにして代々の技術を持った職人が
大集合した工場で作られています。

「16歳のころからずっとこの仕事、食べることと一緒だからね」と、
プレス機をリズミカルに操るおじいちゃんや、
「うちの工場は閉鎖したんだけど、機械ごとこっちで続けられるというので」と、
熱い火に向かう、若くして卓越した職人さん、
「まだ始めたばかりですが、技術の程は検査機にかけたらすぐわかります」と、
研磨を担当する若葉マークの職人さんもいらっしゃいました。

すごく高級な包丁や名入りの道具なら
こうして手作業による製品を、見せる事も含めて
ブランディングすることもあるかもしれませんけれど、
本当に、価格に関係なく、どんな道具も、人の手で作っています。

最近では台所用品はどんどん便利なアイデアグッズが増えて、
包丁を使わなくても調理ができてしまう事もあるでしょう。
どちらが先とは言いませんが、
包丁が使われなくなってしまって
アイデアグッズを作らざるを得なくなったか、
アイデアグッズを作った為に
包丁が使われなくなってしまったのか、
地元では刃物産業の伝統技術を絶やさないためにも
どんな製品なら使ってもらえるか日々模索しています。
その結果、もともとの包丁を疎遠にしてしまっている事に
繋がっているのなら、そんな残念なことはありません。

包丁を使えば「包丁を使う技術」を身につけられます。
わたしたちの住む日本の料理、和食、野菜や魚が中心の食には
包丁で食材を切るということから全てが始まります。
その時に、どんな風に切ろうか、食材をよく見て、
料理をイメージし、刃を入れる、
「包丁を使う技術」が味を決めることだってあります。
難しく考えなくても、
林檎の皮むきをする時に包丁を使うだけでも
日本の食文化と包丁を継承する事なんだと考えます。

マザーズは食材を扱うスーパーとして、
日本各地の生産者さんから届く自慢の品々を揃えますが、
どんな道具で、どうやって調理をするかまでは触れて来ませんでした。
現代の台所事情を踏まえると、どんどん遠のいてしまいそうな手料理、
食材を買う→自分で作る という暮らしを手元に戻すきっかけになるような
便利な道具・包丁と出会えた事に本当に感謝しながら、
多くの方に、少しでもそのお裾分けをと考えています。

ただいま販売中の『万能包丁』は、
マザーズ各店にてご用意いたしております。

製品の特徴についてはこちらのブログへ…↓
【マザーズの「万能包丁」新発売☆】